当初は、イギリス人の15歳の男の子一人が以前の学校で学んでいた日本語を今の学校でも習いたいが寄宿生なので放課後に学校に来て教えてほしいと学校側から頼まれました。授業を始める前に、その男の子に直接会いに学校に行きました。(I.I.E.Lで現在学ばれている皆さんもご存知でしょうが、レッスンを始める前のレディネス分析は、特に私のようにプライベートで教える者にとってとても重要なことです。)その男の子に会った日に、その男の子を合わせて、3人に日本語を教えることになりました。その翌週に初めてのレッスンを行った後に他に四人生徒が増え、最終的には、完全な初級者クラス、初級者クラスを週に一回、一時間半、AS-Level 受験対策の指導を週に一回、15分だけ(16歳の日本人の女の子なので、高校で学ぶ漢字を中心に敬語や同音異義語等、また読解力の強化を目的に教える。)を受け持つことになりました。生徒は全員15歳以上、また週一回だけの授業ということをなので、生徒自身で復習と予習ができるJapanese For Busy People 1を教科書に選びました。また、ひらがなとカタカナの書き方を練習しながら、語彙も学べる“かなマスター”を取り寄せ、各生徒に配布しました。
八月も終わりに近づいた頃、G.C.S.E とAS-Level Japanese の試験の結果報告が学校から届きました。驚くべきことに、完全な初級者だった中国人の男の子は、最高のグレードのA*で、そして、レッスンを途中で断念した中国人の男の子もAで合格し、また、日本人の女の子はAS-Level JapaneseをAで合格したとのことでした。
私自身、たいへん驚きましたが、とても嬉しく思いました。
中国人は、言うまでもなく日本語で使われている漢字の意味はたいていわかることができますが、その読み方、書き方は中国語のそれとはかなりの違いがあります。
二人ともよくがんばったのでしょう。私は、とってもうれしい反面、彼らが、日本語をどれだけプラクティカルに使えるかどうか心配です。もっと時間をかけて教えたかったということは、いまでも強く思います。
新学期から、先学期から教えている17歳の日本人の女の子とイギリス人の男の子に加え、13歳の中国人、台湾人、タイ人の男の子と12歳の韓国人の男の子の合計6人を4つのクラス(A-Level Japanese とG.C.S.E Japanese とComplete Beginnerを二つ)に分けて教えています。各生徒は、とても勉強熱心で、宿題も忘れずに提出してくれます。今のところ、この学校で教える他に三人、別々の場所で日本語の家庭教師もしています。授業の計画、準備、ハンドアウト作り等に追われる日々で、フリータイムはなかなかとれませんが、とても充実しています。
I.I.E.Lで学んだことのほとんどは、実際の授業をはじめ、日本語を教えるあらゆる場面で役に立っています。もちろん、それを役立て、生かしながら成長していくのは、本人次第です。日本語を学習者に効果的に教える難しさは、言うまでもありませんが、学習者の能力を引き出し、成功に導けた時の喜びは、言葉では言い表せず、これからももっと良い授業をしたいという励みにもなります。皆さんも日本語教師として日本語を理想的に教えたくなるとは思いますが、各学習者の達成目標、またそれ以上に導くための授業作りに励んでいただきたいと思います。I.I.E.L 在学中の皆さん、日本語を教えるためのスキル、知識を今、そこにいる間にできる限り学んでください。日本語教師になる近い将来、間違いなく生かすことが出来ます。
また、授業の計画、準備は念入りに行えば行うほど、余裕のある授業をすることができます。最後に、皆さんの今後のご活躍を祈念して。Very Best of Luck!
現在勤めているのは「Pyaess Language School」という民間の語学学校で、普段は初級から上級までの文法そして会話を教えているが、9月になるとこれに加え、日本語能力試験対策コースも始まる。クラスはもちろん個人レッスン、企業へ行って教えることもある。学生は主に社会人であるが、大学生、高校生、たまに小学生も来る。
● 中川千賀子 先生 [DIPLOMA 課程卒]
Liverpool City Council Adult Education Course
at Millbrook College / Hackney College
Queen’s Park College / City Literary Institute
Lloyd’s Insurance Language Training Centre
Department of Trade and Industry(DTI)/イギリス